ktagjp’s blog

健康や病気のこと、政治や信仰、ガジェットや普段使いの道具たちなど、日常のデキゴトを書きます。

悪性リンパ腫になりました ⑤

【化学療法の費用と健康保険】

f:id:ktagjp:20160421200241j:plain ※表は「全国健康保険協会WEB」より引用

〈概要〉

化学療法が始まりました。治療にはいったいどのくらいの金額がかかるのでしょうか。

〈本文〉

今回、R-CHOPという化学療法を経験したことで、治療費について初めて知ったことがたくさんありました。

R-CHOP療法では5種類の薬剤(リツキサン、エンドキサン、ドキソルビシン、オンコビンプレドニゾロン)を使用しますが、高額なのはリツキサンです。保険適用でもリツキサンだけで一回分25万円くらいします(元値は80万円くらい)。それに対してCHOP4種類の薬剤は合わせても4.5万円くらいです(元値は15万円)。

健康保険がなかったら化学療法一回で100万円近くの金額になることを思うと、健康保険という制度がとてもありがたく感じられます。

健康保険を適用しても一回当たり約30万円のは決して小さな費用負担ではありませんが、「高額療養費制度」という制度があるため、自己負担限度額を超えた分は後で払い戻しされます。

しかし、後で払い戻されるとはいえ、病院窓口での支払額が約30万円となると一時的には大きな負担となります。そこで、「限度額適用認定」という方法を利用すると、最初から窓口での支払いを自己負担限度額に抑えることができます。

自己負担限度額は、その人の月収(標準報酬月額)に応じて区分ア~区分オの5段階に分かれていて、たとえば中間の「区分ウ(標準報酬月額28万~50万円)」の場合、大体8万円くらいになります。また、過去1年間に3か月以上の高額療養費が発生した場合には、4か月目以降は自己負担限度額がさらに減額され、「区分ウ」の場合だと減額後の金額は44,400円になります。北欧ほどではないにしても、ここまで自己負担を抑えられる日本の健康保険はとても患者の立場に立った制度だと言えるのではないかと思います。

たとえば、オバマケアが成立して6年の国民皆保険制度が発展途上の米国と比較してみたいと思います。私が今回の一連の検査と入院・通院治療で使った医療費の自己負担はトータルで100万円程度ですが、米国の大学病院での勤務経験を持つある医師の話では、米国で同じような治療を受けると日本の10倍くらいの費用がかかる感じがする、とのことでした。

そこまで高額となると、医療保険でカバーできれば治療を受けられるし、そうでない場合は(あるいは保険に入っていない場合は)治療自体をあきらめてしまう、ということになってしまうのではないかと思います。また、聞くところでは、医療費や医療ネットワークが複雑(「押さえておきたいアメリカ健康保険事情」参照)なために、知らずに医療保険がカバーしていない治療を受けてしまい、高額な医療費を請求されて支払えずに破産する人も少なくないそうです。現実的な費用で安心して治療を受けられる健康保険制度がある日本に住んでいて本当に良かった、とつくづく思います。

次回は通院治療について書く予定です。